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 自室に行ってパソコンを立ち上げる。リストラされた男性が公園で焼酎を飲むところで終わっていた。 『私は二十五度の焼酎を飲んだら胃が温かくなりました。同時に幸せな気分になりました。ゲイのため、生きづらい世の中がバカバカしい世間に感じました。息子が私になにか隠してることを知っていましたから帰ったら追及しようと思いました。どうせ離婚でもさせようと画策を練っているに違いないのです。私は一本では物足りずコンビニに焼酎を買いに行きました。今まで気付かなかったんですがコンビニというところはアルコール類がたくさん有るのですね。私はウオッカを買ってから公園に戻ってラッパ飲みをしました』  僕は一生懸命にキーボードを叩いた。だが、先をどうしようと考えても思い付かない。頭を抱えていると部屋をノックする音が聴こえた。 「誰?お母さん?」 「いや、俺だよ。開けてもいいか?」  お父さんだ。ずっと書斎で本を読んでいたみたいだったがお母さんに何か聞いたんだろう。 「いいよ。ちょうど小説が行き詰ってたんだ」  お父さんは優しそうな目をして部屋に入って来た。僕はまた悲しくなる。 「失恋したんだってな。想いは打ち明けてあったのか?」 「ううん、僕が好きな人の名前は誰も知らない」  結果だが男が好きだってカミングアウトが出来なかった。いや、もしかしたらこの先は男が好きになって皆んなに言わなくてはならないときが来るのかもしれない。
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