73人が本棚に入れています
本棚に追加
※R18表現を含みます。
湯から上がり、数真さんに体を拭かれながら、立ったまま身体中にキスをされる。
恥ずかしさに身悶えすると、腰を押さえ込まれ、性器を口に含まれた。
「…っ!!」
一度出したのに、すでに立ち上がるそれを舐められ、くびれをなぞられると、腰がいやらしく揺れるのが止められない。
板の間に掛けられた鏡に映る自分のあまりの姿に、目を逸らす。
「…イヤか?」
僕は首を横に振る。
違う。イヤなんじゃない。
好きでたまらない人に、そんなことをされて、恥ずかしさとそれを上回る快感に、心が振り切れる。
立っていられなくなって数真さんにもたれると、両足を掬われて横抱きにされ、そのままベッドへと、もつれこんだ。
覆いかぶさるようなキスを繰り返されて、いったん冷えた肌の温度がまた上がっていく。
数真さんが欲しくて、数真さんに奪って欲しくて、舌を絡めて、数真さんに覆われて、手足も絡めて、皮膚の境界が融けかけた頃。
潤滑剤をたっぷりまとった指が、後ろへとゆっくり入れられた。
「……んっ……」
「大丈夫…?」
僕がうなずくと、指先で中を探られた。
ぬるぬるとしたものを外にも中にも塗り込められ、探り当てられた一番感じるところを容赦なく刺激されると、視界が白い閃光で爆ぜた。
はくはくと口で浅く呼吸する。
だめ、もう、無理――そう言っても、数真さんはやめてくれない。
自分の先走りはずっと溢れっぱなしで、後ろへと滴り落ちるところに潤滑剤も足されて、もうぐちゃぐちゃだ。
――欲しい。
こんなに後ろに欲しいと思ったのは、初めてだった。
「…入れて。数真さんの、欲しい……」
素直にねだる言葉が、自然と口をついて出た。甘ったるくて、本当に恋人みたいだ。瞼の裏で、涙がじわりと盛り上がったが、こらえる。
「奏太…」
両方の膝裏を開くように押し上げられる。
数真さんの眼前にさらけ出される光景を思うと、超絶恥ずかしいけれど、その恥ずかしさに反応して、性器の先端から先走りがまたとぷりとこぼれた。
恥ずかしいくせに、ものすごく感じていて、そんな自分を大好きな人が貫こうとしている。
全身が震えるほど極限状態で、たぶん数真さんが入って来たら、僕の身体は形を保っていられずに崩れ落ちてしまうんじゃないか――
なのに。
「数真さんの…入れて……早く……」
僕は、せがむ。
数真さんが目を眇めた。
「…奏太、あんまり煽るな」
極甘のキスをくれた数真さんが、僕へと身を沈めた。
丹念に指でほぐされたそこは、吸い付くような甘い水音を立てて、数真さんを飲み込んでいく。
散々研ぎ澄まされた快感は、今まで感じたことのない疼きとなって、腰から背筋を通って全身へと広がっていく。
ゆっくりと、抜き差ししながら、奥へ、奥へ。
太い根元まで全部沈めると、数真さんは、深く息を吐いた。
潤滑剤を足される。一瞬ひやりとして、すぐに、体温に馴染んで僕と数真さんにねっとりと絡みつく。
ぐっと奥を突かれて、また浅いところまで引いては、また。
まるで打ち寄せる波のようで、その波に揺らされながら、途中どうにも敏感な部分を刺激されて声が止まらない。
ぐずぐずに熟した果実が自らはじけて甘い汁を滴らせるように、僕の先端からも絶えず透明な蜜が零れ落ちる。
つながる部分にまで濡らしては、突かれるたびに、ぐちゅ、ぐちゅ、と淫靡な水音を立てる。耳からも犯されるみたいで、神経が炙られるようにひりつく。
「奏太…」
数真さんが腰を打ち付けながら、僕の名を呼んだ。その低く甘い響きの切なさに、涙が零れそうになる。
好きな人とのセックスがこんなに気持ちいいものだと、知らなかった。
怖いくらい気持ち良くて、どこを触れられても感じてしまい、その切ない快感に身をよじる。
両足を大きく開かれて、無防備に身体の真ん中で立ち上がる僕の性器を、数真さんは扱く。どうすると僕が感じるか、数真さんには手に取るようにわかるんだろう。先走りの溢れる鈴口を親指でいじられて。
「…あっ、……いくっ……」
また、かすかに吐精した。
出ないと思ったのに。ずっといきっぱなしのようで、もう何が何だかわからない。身体は弛緩するのに、快感の潮は引かない。
深いキスに舌を絡ませ、足を数真さんの腰に絡ませ、全身を重ねて深く繋がった。
◇◇
「奏太…俺のこと、好き…?」
奏太の中に深く身を沈めながら、ふと口を突いて出た言葉。
奏太は、息を詰まらせた。
何も言わないまま、両目から透明な涙がぼろぼろ零れ落ちた。
「好き…大好き…数真さんのこと、好き……」
引き絞るように、奏太は呟いた。
訊いてはいけない言葉だったと、後悔しても遅い。
「ごめん。……俺も、好きだよ」
キスをしながら、返す。
先のない自分たちには、気持ちを確かめても、意味はない。
想いが通じて、恋人になれるわけでもない。
ただ、今夜の行為が互いの想いから生まれたものだと、気持ちの奥底から互いを求めていたとわかるだけで、何かの救いになるだろうか。
もう、いいんじゃないか――
もう、大丈夫じゃないか――
これだけ愛おしく想い、自分を想ってくれる人の手を取っては、だめだろうか。そう考える自分もいる。
だが。
二度と繰り返したくない過去が、再び鎌首をもたげて来ないとは、誰も保証できない。もしそうなったら、確実に奏太を巻き込むことになる。
母も、弟も、失った。
好きだからこそ、自分は奏太から離れていなければならない。
奏太には、心から、幸せになって欲しいと思う。
奏太のことを大切に想う誰かがずっと傍にいて、寂しがりやの奏太を幸せにしてくれることを祈る。
俺は、その二人の姿を冷静に見ることはできない。恐らく、醜く嫉妬するだろう。
だから、3日後別れたら、もう奏太を追うことはない。
どこかで幸せになってくれることを、願うだけだ。
奏太が両手を伸ばして、キスをせがむ。
今夜だけの恋人がかわいすぎて、愛おしすぎて、何度も深くキスをする。
そして、自分とつながった細い腰を掴み、自分を焼き付けるように奏太の最奥をこねるように突くと、奏太も応えるようにぎゅうっと俺を締め付けた。
最初のコメントを投稿しよう!