第0話 序章

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第0話 序章

これでも昔は「お互い好き同士なのに」カップルが別れる理由など絶対に理解不能だと高を括っていた。 だが実際に自分がいざ立場に置かれてみると思っていたよりもあっさりと納得することができた。 なるほどな、そういう考え方もあるのか。 だが頭で理解するのと心で考えるのでは訳が違う。 世の中には毎日出会い、付き合い、そして別れ、その全てが多く存在しているというのに私だけが今世界で1番可哀想だと思ってしまうこの現象はなんなのだろう。 兎にも角にもあの頃の私にはその状況を打破するだけの力は持ち合わせていなかった。 今の私ならどうしていたか、などと考えるのも愚問だけれど。 あの時どうすればよかったのか、私達はどこから間違ってしまったのか、誰のせいなのか、などもう考えるだけ無駄というものだ。 私達は、戻れない場所まできてしまった。
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