第3話 こんな時だからこそ出てくるのね

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第3話 こんな時だからこそ出てくるのね

合コン当日。 別に気合入ってるわけじゃないし。大丈夫。私はただの人数合わせ。 自分に言い聞かせるように家を出たがコツコツと鳴るヒールの音にやっぱりちょっと気にしてるんじゃないかと気付かされる。 歩きながらショーウィンドウに映る自分の姿を見る度におかしな所はないかと確認してしまう癖は昔から治らない。 カイも、 「哀ちゃんいっつも心配そうな顔して気にしてるね。俺が可愛いって言ってんだから自信持っていいんだよ。哀ちゃんは世界で1番かわいい。」 と、くしゃっとした笑顔で笑い飛ばしていたな。 なんて。ふいに思い出しては心臓の1番奥がギュッと痛む。 ...今じゃないのよ、カイ。 今は出てこないでよ...。 悶々とした足取りながらも1歩1歩進んでいく。 目的の会場まではあと10分程だ。
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