決行前夜

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決行前夜

 明日は待ちに待った日。  私は明日に備えて最後の練習に入る。  手には軍手をはめ、縄を木にくくりつけてそれを引く。  相手は人間だから力をつけなくてはいけない。  どれほどこの時を待ったか。  ようやく今までの苦労が報われる。  相手には悪いけど、私はもうやると決めた。  この手でトドメを刺す。  私がやらなくちゃいけない。  友達に声をかけたけど、協力できないって断られた。  それでも、私は一人でやってみせる。  翌日。  その時はやってきた。  思い切り縄を引くがやはり人間の重さには勝てない。  それでも私は思い切り縄を引き、人はズルズルと引きずられる。 「只今の綱引きは、紅組の勝利です」  アナウンスが入り、私は勝利した。  白組には悪いけど、これで努力は報われた。 「綱引きに真剣になりすぎじゃない?」 「綱引きに真剣なんじゃなくて、勝負に真剣なの」  たかが綱引きなんて皆はバカにするけど、負けることこそ一番の恥。  私はどんな勝負にも真剣だ。  たとえ他の子が違うとしても、私が紅組になったからには負は認めない。  次の種目は玉入れ。  私は白組に玉をぶつけまくって妨害し、その間に他の紅組の子達が玉を入れてくれる。  白組と私は玉のぶつけ合いになったけど、結果紅組は勝利した。  そう、ここは戦場。  運動会といえど気を緩めれば負ける。 「えっと、玉をぶつけるのは止めましょうね」 「先生、ここは戦場なんです」 「いえ、学校です」  理解しない先生の言葉は無視して、次はリレー。  その前にお昼休憩が入り、私はお弁当を食べて体力をつける。  なんといってもアンカーだからね。  そして始まったリレー。  順調に紅組が先頭を走っていたが、私の前で白組がリードしてしまう。  私にバトンがまわる間に白組と紅組の距離はグングンと開き、流石にこのままでは負ける。  私は隣の白組の男子にコソッと耳打ちをする。  こんな事もあろうかと、この男子が紅組の(りん)ちゃんが好きだという情報は入手済み。  あとは「鈴ちゃんは走るのが遅い人が頑張ってるのが好きなんだって」と嘘を教えれば私の勝ちは確定。  先にバトンが渡された白組男子。  思った通りわざと遅く走ってる。  その間に私にもバトンがまわり、もうダッシュでブッチギリの勝利。  こうして全種目紅組の勝利で終わった運動会は幕を閉じたかに思えたが、私は最後に先生の説教を受ける事になった。 ─end─
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