フェイズ・ワン

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1  カンカンカンカン! 「206号」  看守が警棒で鉄格子を叩いた。 「ああ(Yep)?」  聞こえているはずだが、返事が気に食わないらしい。看守はもう一度繰り返した。 「206号!」 「はい(Yes)」 「面会だ」  オレは、首を傾げた。 「面会だって?知ってるだろう、明日が何の日か」  明日は・・・そう、オレの死刑が執行される日だ。 「もちろん、知ってるさ」 「こんな夜に、いったい誰が?」 「お役人だ」  オレはため息をついた。 「今さら役人に会ってどうなる?追い帰してくれ」 「会わないのか?」  看守は、フンと鼻を鳴らして続けた。 「役人の他にもうひとりいた。若い女だ」 「誰だ?」 「さあな、でもなかなかの美人だった。冥土の土産に会ってみても損はないぞ」 「わかった」  看守はドアを開け、オレに手錠をすると、面会室に連れて行った。
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