フェイズ・ワン

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2  面会室の厚いアクリル板越しに、黒いスーツの男が座っている。その後ろに女が立っていた。女はダークグレーのジャケットとタイトスカート。メガネをかけていたが、確かに美人だ。  スーツの男が、口を開いた。 「ショーン・マコネリーさん?」 「ああ(Yep)」 「検察官の〇〇です」 「お役人が、今さら何の用だ?」 「司法取引の交渉に参りました」 「司法取引だと?オレは明日死刑になるんだぜ?」 「もちろん、存じています。今から数時間後・・・」  検察官は腕時計をチラッと見て続けた。 「・・・司法取引に応じなければ、ですが」 「死ななくてもいいのか?」 「あなたのような立場でなければできない、とても重要な任務があります。もし、それを引き受けていただけるのであれば、刑は執行されません」 「恩赦される?」 「いえ、法的には期限付きの執行猶予となります。いかがですか?」 「話を聞かせてくれ」
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