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 大学卒業して就職して、早いもんで社会人三年目ももうすぐ終わる。  仕事は休みの土曜日の夕方。  年度末だから仕事はかなり忙しいけど、休みは休みでちゃんと取れてた。当たり前かもしれないけどやっぱありがたい。  俺は学生時代の友達と飲みの約束あって、家を出たとこだった。そこにちょうど帰って来たらしい、隣に住んでる女の子に声掛けられたんだ。 「(りょう)くん! どっか行くの?」  中学校の紺のブレザーとプリーツスカートの制服姿なのはいつも通りだけど、胸ポケットにコサージュ、手には黒い筒。  ……ああ、そうか。  「友達とちょっとな。今日卒業式だったのか?」 「そうだよ」  (あい)があっさり頷く。 「まさかひとりだったとか?」 「ううん、違う。式も謝恩会もママと一緒だったけど、夕飯のお買い物するからってそこのスーパーの前で別れたの」  気になって訊いた俺に、愛は首を左右に振った。  なるほど、さすがにそうだよな。
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