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「おはよ」  悶々と待っているところに背後から声をかけられた。振り返ると彼女だった。驚きとともに安堵する。 「あ、おはよう。今日はそっちからなんだ?」  いつもの彼女はベンチからよく見える公園の裏口から現れるのだが、今日は大通りに面した正面の入口を通ってきたようだ。 「うん、雨の日は苦手なんだ。視界が悪くなるから。なるべく広い道を通って来たら回り道になっちゃった」 「そっか……出てるね」  そしてずっと気になっていた彼女の立方体はしっかりと出ていた。なんだ、やっぱり変わらない。 「うん、岡田君のも」 「でも、なんだったんだろうね?」 「そうだね。今日もやってみる?」  そう言って、彼女はいつものように笑った。先週は何が起きるかとおっかなびっくりだったのに、こうして問題がなかったとわかるとコレだ。なかなか大胆で面白い。  ただ、もう一回くっつけるのも悪くないかもしれない。これがどういうものなのか、それを紐解く一助になりそうな気がした。五年の謎を解く良い機会なのかもしれない。大胆な彼女の提案に乗ってみるのも一興だ。 「そうだね……ああ、でもその前にもう少し様子を見てみよう。今日の鹿島の海はなんだか暗いね」  魚を見るに深海ではなさそうだ。天気が悪いのかもしれない。 「うん、海面に近いところな気がするんだけど……雨なのかな? あ、岡田君の空は雨だね」 「うん、今日は雷雨」  彼女はそれぞれの立方体を見比べながら、顎に手を当ててつぶやいた。 「ふーん……もしかして、近付いた?」 「え?」
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