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 その言葉で一瞬息が止まる。何も答えられなかった。僕もそういう選択肢を考えたのだ。だって僕と鹿島では二人の世界に閉じこもってしまうから。それは、『変わらない』という意味ではこれまでと同じだ。 「たぶん、私たちはそろそろ自分の人生と真摯に向き合わないといけないんだと思う。立方体を出せなくなったってことはそういう事なんじゃないかって」 「鹿島、僕は嫌だ」  でも、そんな決断する必要あるのか。あんな意味の分からない謎の立方体に対して、合っているかどうかもわからない推測をぶつけて、出した結論なんて納得できない。  それこそ、アレに振り回されすぎの行動じゃないか。 「岡田君……」  彼女は悲しそうに、振り向き去ろうとする。 「鹿島っ!」  僕が手を掴んだ、その時。 「海……」 「空……」  慣れ親しんだソレはいつものように音もなく、なんの脈絡もなく、そこに現れた。  ただし、一つだ。  空と海。  一辺二十センチほどの立方体がひとつ。まばらに雲が見える綺麗な青空に、エメラルドグリーンの海。会話の内容と場違いに美しいソレはふわふわと僕たちの周りを漂っている。  しばらく僕たちはただ呆然とそれを見つめていた。
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