アルバイトと東京と好きな人と

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「お疲れ様……また明後日ね」  昼、十二時  アルバイト初日は遅刻寸前になった事以外は、 何事も無く無事に終える事が出来た。  これから、ホテルに戻ってランチタイム。  その後は、暇なので原宿散策と行きましょう。   「お帰りなさいませ……朝比奈様、ランチ会場は二階 空の間になっております」    フロント係の丁寧な案内を聞いて、エレベーターで食事会場に向かった。  ライブ形式のオープンキッチン、ビュッフェスタイルの食事に晴れた日にはとても最高の居心地になるであろうテラス席。   「よっ!! 桃花、昨日ぶりだな?」  突然、目の前に現れたのは人のハートを一瞬に射止めた  恋泥棒。 「あれ? もしかして藍沢さんも宿泊ですか?」 「違うよ、実家からたまたまホテルkグランドのランチタイム優待券届いたのでね……使わなきゃ損だろ……」  そう言って、右目をパチリと閉じる。  どこまでもこの人を見ていると、虜になって行く。  目を合わせるのも恥ずかしい……   「どうしたんだ? 具合悪いのか?」   「え? 違いますそのあはは」    これは決して鈍感という事では無くて  俺は、あんたの気持ちを知ってるんだぜ? みたいな口調で問うてくる。  どこまでも、誰よりも聡い男。   「料理取ってくる」   「はい……」    テーブル一杯に並べられるパスタやピザ、サラダ、そして飲み物。  高級ホテルの厳選された食材で作られた、焼き立て、作りたての料理が味わえるなんて、最高の ひと時だ。  二月までとは言わずに、ずっとこの生活を満喫できればいいのにとさえ思っていた。 「なぁ……桃花ちゃん今度いつ空いてる?」 「え?」  食事中、とんでもない質問が返ってきた思わず口に入れたパスタが蒸せた。 「大丈夫か?」 「はい」 「あんた、東京初めてだろ? 折角の機会だし二人きりで  お散歩したいなと思って」  二人きり? (・・・・・)散歩(・・)=デート?  ああ、駄目だ頭が心が嬉しすぎて大パニックになりそう。  東京スカイツリーが街を覆い尽くす位にだ 「喜んで!!」  思わず、他のお客が見てる前で大声を上げてしまった。 「あ……でも明後日は休みなんですけど伊織さんと家探しで  そのあの」   「焦らなくても、いつでも答え待ってるぜ!!」   「はい! また予定出来たら教えますね」    東京に来て楽しみが二つ増えた。  それは、好きな人が出来た事と今度デートに行く事だ。  (この日の為に……服買った方がいいのかな? )  と悩んでしまう。
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