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同棲と夢の跡と指輪。
「おはようございます」
一ヶ月お世話になった、ホテルを去った。
家が見つかるまでは、しばらくキャッスル影山でお世話になることになる。
「これから桃花が過ごす部屋を案内するよ」
西棟の二階の一室。
扉を開くと、想像していた豪華絢爛な一部屋では無くセレブらしからぬ、汚部屋が展開されていたのだ。
「え?」
「俺の部屋だ…見れば分かるだろう」
「あ、ああ…」
「俺の様に、完全無欠の美青年にも欠点の一つや、二つは抱えているものさ」
何気ない顔で、伊織は言い放った。
しばらくすると、両手に掃除用具を抱えた。
バトラーのレオナルドが勢いよくが飛んできた。
大柄で筋肉質な体つき、声も人一倍大きく、元気いっぱいな体育会系のイケメンだ。
それに続く様に、お手伝いロボ 影山 クリーン号も姿を表した。
「レオナルド、クリーン号、よろしく頼んだ」
「了解でーーーす!!」
二人は、一旦部屋を離れた。
「ふぅ…とりあえず一服と行こうか…」
爽やかな顔で伊織は、茶器セットを持ってきた。
「ありがとうございます」
鼻の中に広がる、爽やかな茶葉の香りが心地よい。
「こう言うのはなんだが、俺達、婚約者同士だ。
これからは敬語ではなくタメ口で話そうか
よそよそしい」
「うんわかった。」
伊織は桃花の右手の甲に、そっと唇を落とした。
「ぎゃあああああああ!!」
レオナルドが叫び声と共に、転がる様に階段を降りて来た。
「何事だ!?」
「ゴッゴキブリ!!」
「只今より、ゴキジェット噴射します」
クリーン号は、壁に止まった一匹に殺虫剤を散布するが、全く効果が無かった。
何故なら、持っていたそれは制汗剤だったからだ。
「何でだよおおおおおおおおおおおお!!」
五羽のゴキブリは、三人と一体を屋敷中、追いかけ回す。
さらには、緊急システムも発動してしまった。
リビングに精鋭部隊が一斉に駆けつけた。
「大丈夫ですか!!」
「ああ、誰かゴキジェット持ってきてくれ!!」
「了解しました!!おらああああああ」
影山家が発明した、特製高濃度 ゴキジェットのおかげで全匹、ご臨終となった。
「ふぅ」
ほっとしたのも、束の間。
屋敷内にまたサイレンが鳴り響いた。
「またかよ!何だよ!何が来るんだ!!」
「要注意人物!危険人物五がキャッスル影山に近づいています!!」
「何だと…今すぐセーフティーセンサーの感度を強化!シェルターの解放を!!」
「了解です」
緊迫した空気、ただ事ではない様だ
まるで、テロリストの襲来を予見しているかの様だった。
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