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突然、屋敷中がプツリと静かになった。
「何が起きているんだ…まだ対象物はキャッスル影山周囲にいるのに」
「至急、周囲の警備に向かってくれ!場合によっては銃弾攻撃も許可をする」
「了解です!!」
「ハロー桃花、いおりん」
馴れ馴れしい仕草と聞き覚えのある声。
後ろを振り返ると、紙袋を持った響が立っていた。
「え?響…こんな状況の中どうやってきたの?」
「おい!どう言う事だ!!お前はどうやってここに来たんだ!」
「さぁ?ひ み つ」
怒り狂った伊織は、ふざけた響の頬に強烈な一発をかました。
「ちょっ!!」
二人のやり取りは小競り合いから取っ組み合いの喧嘩にヒートアップしている。
「はい、桃花にプレゼント…」
「わっありがとう」
高級そうな赤の包み箱を渡された。
「桃花だけの一点物だぜ、俺だと思って食べてくれよ」
「ちょっ」
唇に人差し指を添えて、小声で囁く。
伊織の目があると言うのに、桃花に対してのアプローチなのだろう。
「誘惑するなこの下半身脳みそ星人が」
「いて!ああ、いおりんも欲しかった?また今度頼んでやるからな」
そんなこんなで、再び喧嘩は勃発。
見るにみかねた、精鋭部隊の数名が止めに入っているが止まる気配はなかった。
「おーい桃花ー」
すると、動物棟近くの大木から声がした。
「!?どうしたの!!」
響は、縄を何重にくくりつけられ、吊るされていたのだ。
「何もここまでする必要ないだろ!!」
「うるさい、黙れ!これ以上口を開いたら」
「ひいいいいいい!!!!」
伊織は、響に銃口を向けた。
「結構、疑問に思っている事なんだけど、二人は昔から仲が悪いの?」
桃花は、二人に尋ねた。
「先祖代々、俺達歴史ある影山家と藍沢家は争い続けていた。特に、俺とこいつが生まれた時は酷く」
「毎日院内は、乱闘騒ぎ、俺達二人は生後一週間でロイヤルセレブ産婦人科を出禁になったんだぜ」
「は…はぁ」
二人が犬猿の仲なのは、昔からだったようだ。
金持ち喧嘩せずと言うことわざを聞いた事があるが実態は、そうでもないようで
争いは夜まで続いた。
「今度は、お手柔らかに頼むよプリンス」
「あ?文句あるなら二度と来るな!!」
先程まで、ぐるぐる巻きに吊るされていた人間とは思わぬ軽足で、キャッスル影山の塀を飛び越えて行った並はずれた、身体能力だった。
「塩撒いておけ!塩!!!」
「はい!!」
クリーン号が、俵を持って来たのだが、通行人に砂糖をぶっかけたのであった。
「ぎゃあああああああああ」
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