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部屋に戻ってからベッドに横たわってスマホで
なるべく、プチプラで済ませるデートコーディネートを調べていたら。
「あっ眠い」
仕事の疲れなのかだんだん眠気に襲われて、そのまま
深い眠り、夢の中
見た事も無い家の寝室のベッドでまぐわう、全裸の男女が居た。
「んっ……桃花……」
「んっあああ……気持ちいいよ……響」
お互い名前を呼び合って、深いキスと入念な身体への愛撫。
「ほら、足開かなきゃ……入らないだろ」
「あっ!! 痛い……よ……響」
「桃花……力抜いて……くれ……」
激しい腰の動きと甘い快楽、そして淫らな嬌声をあげてよがる。
「ん……あ…夢? 嘘、夢? 恥ずかしい!! きゃああああああ」
あまりにも、突拍子も無い、驚いた夢を見てしまった。
会って、二日しか経たない響を決して性的な目で
見ていると言う訳では決して無いのに
つけっぱなしだったテレビは、深夜帯なのか今は艶かしいホテルのコマーシャルや水着姿のナイスバディーなタレントが出演しているエッチな番組が放送されていた。
もしかして、さっきの淫夢はこの番組のせい?
「少し、落ち着こう」
テレビを消して、備え付けの冷蔵庫に手を伸ばし、ペットボトルのミネラルウォーターを飲んだ。
あんな夢を見てしまっては今度のデートで会話はおろか、まともに顔を合わせる事が出来ない。
それは、元からだけど……更に出来なくなって会話にならなくなったら幻滅される
最悪、嫌われる。
でも、所詮夢は夢だ、実際に交わった訳でもないのだし、深く考えないでおこう。
部屋の明かりを完全に消して、再び眠りに入った。
昼間、今日は桃花の休日で伊織とSPの斎藤と三人で不動産屋 ロイヤルkホームに来ていたが昨日の夢のせいで完全に上の空
今日は、家探しの日だと言うのに
こんな状態でまともに話なんて耳にはいるのか?
「おい! 田舎娘!! 聞いてるのか!! 今日は君の住居を探しにきたんだろ? 肝心の本人がボケっーとしていてどうすんだ!!」
「ったぁ」
ポカっと拳骨が頭に降りる。
目の前で一生懸命説明する担当者とSPの斉藤が苦笑いでこちらを見ている、申し訳ないという気持ちと恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
何故、一夜明けても忘れられないのだろう。
夢って基本、眠ればすっかり忘れている物なのに
(でも、考えすぎはいけないよね……切り替え、切り替え)
現実に戻ろう。重要な話し合いの日ではないか
伊織はやり方は少しばかり乱暴だが、言葉は言う通りで
肝心の主役がボーッとしていたら、一向に話がまとまらないじゃない
冷静に、冷静に……なろう
テーブルに置かれた、お茶を飲んだ。
「えーっとですね……こちらのお部屋だとモノレールの乗り換えが必要になりますね……」
「そうですか…他にあの……二十三区から通える所って……」
「いやぁ……それがですね……今の時期、ご案内は難しいですねぇ、次が空くのが……七月になります」
「そうですか……」
「はい……大変、人気のエリアなので……ご期待に添える事が出来ず、申し訳ございません」
それもそのはず、ショッピングモールや二十四時間営業の店がズラリと並び、徒歩の範囲で行ける。
そして、駅近となると激戦区と言っても過言ではないだろう。
「それではまた来ますね」
「はい、ありがとうございました」
三人は不動産屋をあとにした。
「すまない…完全に俺の誤算だった、影山家パワーでもどうする事が出来なかった…家が見つかるまで
君をキャッスル影山に置いておこう」
え? なんとあのドケチな伊織から、思わぬ言葉が飛んできた。
「やったー」
これで、しばらくは雨風が凌げるし、職場が家なので昨日みたいに遅刻寸前の状態にならずに済む。
「ただし、部屋の備品、家具を壊したら……相当額の弁償を要求する! 覚悟するように」
「はい」
嬉しい気持ちの中、再び釘を刺されたのであった。
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