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ようこそ影山邸へ
クリスマスイブの日、船の上。
「君…俺のフィアンセにならないか?」
「え?」
突然、クルーズパーティーの主催者 影山 伊織にプロポーズをされた、言葉が出なかった。
金髪の美しい髪に、日焼けとは無縁の白い肌
引き込まれる位美しい空の様な青色の瞳
こんなに美しい人に突然、愛の言葉を伝えられたから
喜びのあまり、体温が上がって失神しそうだった。
(ダメ…桃花耐えるのよ…これは…これは)
「なら…決まりだな…来月から俺の住む
東京 青山キャッスル影山に来てくれ…」
「は?」
その男は強引に結婚話を決めた。
しかし、投げ渡されたのはダイヤの婚約指輪ではなくて、k projects team kと彫られたシルバーのピンバッジだ。
「これは?指輪では無くて…」
「つまり…来月から君は影山邸で召使いとして働いてもらう…異論は受け付けない」
「はぁ?」
一気に夢から現実に引き戻された気分だった。
思わず、皆が見てる前で素っ頓狂な声をあげてしまった。
たしかに今の桃花は仕事先が今月の初めに閉業してニート生活を送っている。
辺鄙な田舎なので仕事先も全く見つからない。
最近は、気を遣ってなのか今回のクリスマスクルーズパーティーチケットを譲ってくれた隣近所のお節介お婆さんから
見合い話を持ち掛けられる程だ。
まぁ、お察しの通り若い男も皆、就職と進学を機に東京に出ていってしまい
絶滅危惧種と言っても過言ではない。
「え?召使い?働く?」
「ああそうだ…俺はそんな素性もわからない君に簡単にプロポーズを申す程の尻軽では無いからね…来月伝えた場所に来てくれ待ってるよ…」
そう言い残し、男は去っていった。
正月を過ぎた頃
桃花は一式の荷物を持って、再び東京に訪れた。
父と母に東京で無理やり影山家の召使いとして働く事になったと伝えたら心配される所か泣いて喜ばれた。
隣のお婆さんもこれで結婚相手が出来ると泣き喜んだ「チケットを譲ったかいがあったと」
大変喜んでくれた。
そして、その日のうちに天に召された。
「ここか…緊張するな」
たどり着いた場所は豪邸と言うより、白い大きな要塞が立ちはだかっていた。
こんな建物アニメでしか見た事がなかった。
震える手でインターホンを鳴らし
厳重なセキュリティーチェックを終えると
凄く重そうな何重もの扉が開かれた。
中から十人程の従者と影山 伊織が姿を表した
「おはようございます…本日からこちらで働かせていただく朝比奈 桃花と言います」
「Bonjour 遠路遥々お疲れ様…
ようこそロイヤルの集結 キャッスル影山へ…
今日から君は影山家の一員だよtribe…」
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