ギルド任務に行ったらやばい女の子がいた

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ギルド任務に行ったらやばい女の子がいた

《レン視点》 「レッドベルフ…ね。」 俺の名前はレン·アーク。しがない冒険者だ。ランクは一応A5。肉の品質やら紙の大きさじゃないぞ? アルファベットはSが一番強く、そこからA、B、C、Dとあって、Eが一般人。数字は1から9で、大きい方が上位だ。 今日も依頼をこなすためにギルドホールに来ると、普通の依頼の中に報酬がバカ高い依頼があった。それは、レッドベルフの討伐。 レッドベルフっていうのは熊みたいな狼みたいな奴で、ランクは大体A3。かなりの上位種だ。 体がでかい割に相当素早く、普通の人なら反応もできずに即死の攻撃を入れられる。 力も強く、岩が簡単に砕かれる。 また、毛皮も分厚い上に硬く、普通に剣で斬ろうとしてもCクラスの冒険者くらいなら傷一つつかない。 その上、再生能力も高いとかいう化け物オブ化け物。 でも、俺は既にこいつを倒した経験がある。すでにレベルは39。今までの魔王を倒してきた勇者の最高レベルは54だから、あと15も上げれば歴代最強と並ぶことになる。 こいつを倒せば相当経験値も入るだろ。いつものみんなと行こう。   「すみません、これを受けたいんですが…」   「はい…え、A3の任務ですよ?大丈夫ですか?」   「大丈夫です。これでもA5なので。Aクラス地帯の友人を数人連れて行くので、問題ありませんよ。」   「そ、そうですか…了解しました。ご武運を。」   「はい。」 っし、行くか。 テレパシーでちょっと離れたところにいる友人3人に連絡を飛ばし、出発する。       「…で、この森の中なのね。」   「ああ。ま、このメンバーなら少なくとも負けることはないだろ。」 全員がA3以上。一番低いこいつ…回復師のリーンでさえA3だ。   「…ん?戦闘の音が聞こえるわね…」   「マジ?…ホントだ。」 と、A4の魔術師のリオルとA6の防御士のフィードが言った。確かに向こうから音はする。まあ、多分ゴブリン辺りかな?   「さて、こっちもさっさと任務終わらしちゃいましょっか。レッドベルフなら四人いればちゃちゃっと勝てるわよ。」 と、   「…なあ、さっきからレッドベルフの咆哮が聞こえる気がするんだが。」 フィードが言った。え、マジ?   「あ、やっぱ聞き間違いじゃなかった?私もそれは聞こえてた。…あの戦闘音のする方から聞こえるのよね…」 え、それって、   「襲われてるなら早く行かないとまずいんじゃ…?」   「なら、急いで行きますか!『スピードアップ』!」 よし、行くか!と意気込んで足を出したところで…   ドガアァァン!   「はっ!?」 爆発音にも近い、衝撃音のようなものが聞こえた。   「急ぎましょう!」 で、茂みから出ると…   「!こっち!いたい…た……」   カチャ 「…Freeze!」  黒い、曲がった筒のような杖と思われるものをこっちに向け、臨戦態勢を取った少女がいた。いや、それだけなら良かった。       その横に倒されたレッドベルフと思われる物が無ければ。         「どうしt…」 「ここか?ベルフが出たn…」 「二人共?固まってどうs…」 全員もろとも固まった。あ、そりゃそうだ…。A3クラスのモンスターだぞ? 一般人なら飛びかられた瞬間体中がミンチになっててもおかしくないようなやつがボロボロで倒れてるんだぞ? しかも、そのそばに立ってるのが屈強そうで筋肉バッキバキで重装備のおっさんが複数とかならともかく、筋肉とは無縁という位に華奢でむしろかわいい上、普通の黒い服を着た多分10代前半ぐらいの女の子が一人だぞ?その上、傷一つついてないし。そりゃ言われなくともフリーズするわ。   「あ、あー、僕達は敵じゃないから、その…杖?を下ろしてくれると助かるな〜…と…」   「…本当に?」 疑うみたいな感じだな…まあ、それも無理ないっちゃ無理ないか。   「も、もちろん。」   「…分かった。」 大人しく黒くて曲がった筒のような、杖と思われるものを下ろしてくれた。良かった。話は通じるみたい。   「…え、えーと、まず、このレッドベルフって君が倒したの…?」 一応確認。もしかしたらたまたま倒された後に迷い込んだだけ…   「あー、そうですね…?」  …な訳でもなかったかぁ…   「ほ、本当に?」   「そんなに信じられない…ですか?」 何と言うか…話し方がすごい警戒してる上、敵意を持たれてるのも分かるんだけど…見た目が見た目だからどうと言うこともないな。    「いやいや!…って言いたい所だけど、信じ難いよね…だってA3級のモンスターを一人で倒したって言っても…あ、もしかして他に人がいたり…」 もしかしたら…   「いや、一人ですよ。」 ですよねぇ…   「だよねぇ…他の人見当たらないし…え、本当に…?」    「とりあえず、ステータス見せてもらったらどうなのよ?」 あ、そっか。ステータス見せてもらえばいいんだ。もしかしたらこれでもめっちゃ凄い魔術師かもしれないし。   「あ、そっか。君、ステータス見せてくれない?」 といった瞬間、    「伏せてっ!」   「え?」 叫ばれた。ふと気配を探ると反応が2つあった。人間じゃあない。モンスターだろう。   「早く!」 いや、でもこの子に闘わせるわけには…いや、本当にレッドベルフを倒したなら勝てるか…? 一回戦いを見させてもらおう。危なかったら介入すればいい。   「は、はい!」     結果、女の子の圧勝だった。 アルターウルフもダストバードも一応C8に分類されるモンスターなんだけどなぁ…まさかあんだけ動くのに急所めがけて一撃で倒すとは思わないじゃん…しかもあの杖じゃなくてナイフ一本ずつだぞ?魔術師が接近戦をするとえげつないほど弱くなるのに、それでも一撃。 これなら一人でレッドベルフも勝てるかもなぁ…というか、もはやS2あたり行ってるんじゃない?末恐ろしい…   「えっと…信じてもらえましたかね?」   「…もう信用するよりほかなくなったよね。下手に怒らせでもしたらいつの間にか天国逝ってるかも知らないし。」 笑えないジョークだ全く…   「とりあえず…何でこんな所にいるの?」         《ヴェイル視点》 何で、か…そんなのこっちが聞きたいんだけど… 状況を把握できてないのはこっちの方もだよ…まじでどう答えよう?この場で逃げてみるか?…捕まるよね、異世界の人だもん。僕なんかよりずっと速いはず。…嘘ついてみる?…その内容が思い浮かばないから却下だよねぇ…え、ほんとにどうするよ?もうそれなら…   「…気が付いたらここにいまして。」 事実を話しつつも相手が誤解できる、理由を話す。これならいけるはず。   「気が付いたら…ねぇ…誘拐とかかな?…あ、そうだ、君名前は?」   「相手より先に自分が言うべきでは?」   「、ッハハ、そうだな。僕はレン·アーク。A5のしがない冒険者さ。」   「私はリーン。A3で回復師をやってるわ。」   「俺はフィード。A6の防御士だ。」   「私はリオル。A4で魔術師よ。」   「ぼ…私はヴェイル·ミル。…そのA3?とか魔術師とかの職業は分からないんですが…」 危ない。僕って言うところだった。今は女なんだってば。いや、ボクっ娘ってやつもいるか…まあ良いや。   「職業もランクも分からない…ね。あ、でもその杖使ってたんでしょ?」  え、やっぱこれ杖に見られてんの?魔術師とかだと思われてるのかなぁ。   「どれどれ「あっ、」んー?どこをどうしたら「触らないでください!」っ!」 反射的に手を叩いて銃を落とす。流石に使い方わかってないのに持たせるのは危険すぎる。   「下手に触ったりいじらないでください!暴発したら大変なんですから!」 安全装置は一応つけてるけど、それを外されて引き金を引かれでもしたら最悪人が死ぬ。そればっかりは流石に良くない。クズは殺すけど普通の人を殺せるほど残虐じゃあない。   「ご、ごめんなさい。」   「あ、こ、こちらこそすみません…急に叫んでしまって…でも、本当に危ないので勝手に触らないでくださいね?」   「……分かったわ。」 どことなく不満そうだけど…   「ところでですが…ステータス?ってどうやったら見れるんですか?」   「えっ…?」 え、何?僕変なこと言った!?   「いや、目の前にステータスが出てくるのをイメージしながら「ステータスオープン」って言うだけだけど…」 あ、それでか。こんなことも知らないのかお前、の視線だったわけね。じゃあ改めて。   「ステータスオープン。」 と、   ヴェイル·ミル Lv14 性別 ── 年齢 ── MP 140   ATK(攻撃力) 400(+5000) DEF(防御力) 100(+200) SPD(素早さ) 2000(+100) AVO(回避力) 400(+300)   スキル 隠密 Lv10 気配隠蔽 Lv10 気配察知 Lv10 精密 Lv10 投擲 Lv10 情報操作 Lv8 制作 Lv5   ※表示者のみ視覚適応↓ 主武器 ナイフ 38口径拳銃 FSR-264   称号 無慈悲な暗殺者 異世界転生者   特殊スキル 無感情 獣人化 人化   うわぁ…マジですか。 メッチャ事細かに書かれとるやん…というか性別と年齢の欄が見れないんですが。アレかな?2つあるからかな? その他のステータスは…基準がわからないからどうとも言えないか…。 で、主武器と称号と特殊スキルってのは他には見せれないんだね。なるほど。…獣人化と人化…これスキルなんだ…うん?無感情って何?僕感情あるよ? とまあ、考えたりはしたものの、一度レンさんにみせると…   「(( ゚д゚))」 再び固まった。大丈夫ですかー?   「え、えぇ…?もう…どこから突っ込んでいいのやら…」 その横から覗き込んだリーンさんも頭を抑えている。え、これ異常なの?   「…ヴェィルちゃん、だっけ?」 レンさんがなんとかこの世に帰ってきた。   「は、はい。」   「…これ、異常すぎない?」 ………さいですか…
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