1章:私は一般の中でも幸せな方なのだろう

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 結構ありきたりだけど、2人で初めて行った場所は映画館だった。その時期に流行ってた海賊映画で、カッコイイし面白いし周りの友人もその話でもちきりでお互いまだ見てないから一緒に見よっかっていう軽い会話から映画になった。ポップコーンをシェアして食べたのだけどいつもよく食べるからという理由で両手でやっと抱えれる一番大きいやつを頼んだのを覚えてる。  異性と2人きりだというのが未経験すぎる自分を忘れていた私はバカだった。  映画は面白かったけど、至近距離に異性が座るのを体験したことがなかった私は緊張しすぎて殆どポップコーンが喉を通らなくて半分以上残してしまった。ゴミに捨ててしまった時に食べ物を無駄にしてしまった罪悪感で気分が沈んだけど、ドリンクは氷ごと空だったのは不思議だった。  飲み過ぎたらトイレに行きたくなるから、と、普段氷は絶対残すのに。  そんなこんなで、ちょっと微妙なデート?、のようなものが最初になってしまいこれ以上の進展は望めそうにないな、と私は思っていたのだが、向こうのほうは一度2人で遊ぶと気持ちが緩むというかなんというか。  もう運転できる年齢だったこともあって彼の車でお出かけすることが増えた。というのも、「今どこにいる?」と聞かれて場所を答えると「迎えに行く」と車で来てくれたから必然的に2人になったと言うのが正しいかもしれない。  でも、展開っていうのは意識し合うと割と早いもので。  まだ片手に数えられる程度しか出かけてない中、彼が私に告白した。  私は一瞬悩んだけど、初めての真正面からの告白であったのと、仲良くなってきたことで気持ちが傾いているのは間違いないと感じていたのとで首を縦に振った。
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