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「えへへ」
「ええ……まだ笑ってんですかぁ……? 流石に気持ち悪いですよ?」
幸せの笑みが零れただけなのになんて酷い言い草だろうか。蒼君は私に慣れて段々と舐め始めているのではないだろうか? 流石にこれには私は怒っていいと思ったが、怒りが湧く隙を与えない程の幸せが心に溢れており、私は軽く「むぅ」と頬を膨らませる程度の行動で終わった。
――それに
この憎たらしい言葉も蒼君なりの愛がつまっていると、私はもうわかっていたから。
お互いの気持ちをなんとなくお互い察することが出来るように自然となっているからこそ、多少のストレートな言葉もお互い気にならない。その関係性はまるで
”相思相愛”
そんな言葉が似あう関係なのではないだろうか、と、ふと思った。
これは恋人にしか使っちゃダメなんだと思っていた。
だけど私と蒼君の今の関係なら――この言葉を使っていい気が、した。
私の大好きに彼が『僕も』と言ってくれたから
「私たち相思相愛だね」
少し冗談まじりに言ったのに妙に身体が熱くなる。恋をしてるわけじゃないのに、同意の言葉を恋焦がれるように私の身体が緊張で背中に汗が伝った。
「ですね」
いつもと変わらない笑顔で返してくれた君の言葉は私が泣きたくなるくらい心を揺さぶった。この会話のやり取りがいつもと寸分違わぬ日常会話のようだからこそ私は嬉しくてたまらなかった。告白でもなんともない、友人同士ならではの空気感のこのやりとりは、きっと蒼君との間でしか手に入れられない。
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