最終章:旦那と私の距離

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***  私たちはじっくり話し合って、これからの結婚生活の方針を決めた。 ・お互い働いているから家事は分担 ・とはいえ私はパートだから私が多め ・お互いを尊重し合う ・頭ごなしに怒鳴らない ・相手の話をちゃんと聞く ・お互い一人の時間を尊重する  大方決めたのは、こんなところだ。  1人の時間、というのは子ども抜きの自分だけの時間だ。それをお互い週に一回は取ろうということになり、必然的にどうしても少なくなりがちな私は週末の半日を一人時間として貰うことが可能となった。それは交渉次第で1日にもできるし、旦那にも1日与える。少し契約のようなものになってしまったが、お互いの心の平穏や今後ずっと一緒にいるのならばメンタル的にもそれが一番いいと両者一致で決定した。  そして私はこの貴重時間を今日は蒼君のために使うことにした。  だから今、私は少しだけおめかしをして外に出ている。  ――何から、話そうか  いつもの待ち合わせ場所の駅へ向かいながら私は思考する。  円満解決したことは必ず話したい。だけどこれからたくさん夜に心置きなくゲームを一緒に出来ることも話したい。旦那公認だよってことを一番に告げたい気持ちもあるけど、それよりもゆるりとした雑談で心癒されたい気持ちもある。半日もあるのに、考えれば考えるほどやりたいことが多くて足りないと感じる。だからこそ目一杯有効に使いたい。そうだ、あのレア素材はゲットできたかも聞きたい。攻略を見てもわからなかったところを2人で一緒に考えてクリアしたい。  それから、それから―― 「観音さん!」  色々考えていると前方から声がかかった。  視線を巡らせると、私と蒼君が初めて出会った駅の改札口で見慣れた人影を見つけた。私に向かって大きく手を振りながら、蒼君は改札口を出てきた。  思い描いていた大切な友人の姿を目にした瞬間、喜びと共に私の中で衝動が走りとある言葉で埋め尽くされた。 ”旦那に認められても、蒼君は本当にこれからも私と友人でいてくれるだろうか”
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