エピローグ

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 付き合いが1年以上になると冗談も言い合えるようになってきた私たちの会話は、一年前以上に笑いが絶えなくなっていた。  それと共に、お互いのことをゆっくりと知っていった。  蒼君は必死だったり怒ったり悲しいことがあると妙に早口になり言葉の嵐が飛び交う。その語彙力の多さに私は始めは目をパチクリさせていたが、あまりの怒涛さに笑えてきてしまい発動するたびにツボに入ってしまうようになった。  そんな私に蒼君は「ツボが浅いです」と不機嫌に言っていた。旦那にも確認すると、どうやら私はツボが本当に浅いらしい。よく笑い、表情がコロコロ豊かに変わる。それが私の特徴であり愛らしさだ、と言われた時は我が旦那ながらなんてクサイ台詞を吐くのだと赤面したが、それを蒼君に話すと真顔で同意されたのでそれは私の長所なのだと思えてとても嬉しかった。  一方の蒼君は殆ど無表情だと最初の頃私は思っていたけれど、心を許した人ほど表情が豊かになり冗談が増えるのだと知った。ただ、冗談は物凄く真顔で言い、淡々とオチを付けるので横で見ていてとても面白い。ただひたすらに優しい人だと思っていたのだけれど、こんなにも面白い人だったのだと知れて私は嬉しくもあり非常に楽しい。そんな私の反応に蒼君は「ええ……?」と困り果てた顔をしていたが、ならば反撃とばかりに「そう言う観音さんは思ってたより天然ですよね」と言った。  それに関しては私はぐうの音も出なかった。
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