1章:私は一般の中でも幸せな方なのだろう

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1章:私は一般の中でも幸せな方なのだろう

 私と旦那は恋愛結婚だ。  約3年、カップルでの付き合いが続いた。その付き合いが長くなったきっかけは――俗に言う、体の相性の良さだ。  折角なので、明らかに幸せな結婚をしている筈の私と旦那の話をしようか。  出会ったのは大学時代。旦那にとっては3人目の彼女で、私にとっては初恋ではないけれど初めての彼氏。最初はさほど惹かれ合わなかった、というより、お互い『友達止まりだろうな』となんとなく直感していた。  それが変わっていったのは、4人以上の友達ぐるみで会う回数を重ねた後に不意に二人きりになった瞬間からだと思う。  暗い川辺で。  花火でバカ騒ぎする友人たちを笑いながら見て。  なんとなく草の上に並んで腰かけて。  他愛ない話から、お互いの話になって。  なんとなく「2人で遊んでみようか」て話になった。そこから、お互いの距離が近くなったのだ。  というのも、私が意識してしまったのが大きかったと思う。”異性で2人きりで遊ぶ”のが20歳になっても未経験の私は平気な振りして実は大興奮だったから。複数人の男女で遊ぶのはよくあったけど、私の親が私を大事にしすぎていたり門限が20時前ばっかりとかで、度のつく大真面目な私は親の言いなりになっていたがために学生時代は皆”友人”どまりで終わってしまっていたのだ。過去に一方的に惚れられ彼女だと学校内で言いふらされ男女の友人全てを失いかけた時に男性が怖いと思って暫く男性恐怖症を患ったのも原因だっただろう。大人になってから漸く異性を意識し始めた私は、この頃思春期の中学生のように色めき立っていたのだ。
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