1章:私は一般の中でも幸せな方なのだろう

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 お風呂入れたばかりなのに冷めちゃうな、ご飯食べたばっかりでお腹が張って痛いな、トイレ大丈夫だっけ、とか色気のないことを逡巡した後に、私は突然訪れた甘い時間にひたりたくなってしまって「いいよ」って答えた。元々、甘えたくて抱きしめてって言ったのもあったから。  私の答えを聞くや否や私をお姫様のように抱えて布団に連れていく旦那の逞しさに、私は旦那にしがみつきながらキュンと胸を慣らしていた。  その日は勿論。  私たちは、甘い夜をたっぷり味わった。  そして、その日から……  ただ抱きしめて貰える日は、なくなった―― 「待って、ねぇ、やりたいことあるんだってば」 「俺は今お前を食べたい」 「やだってば、ねぇ――」  拒否をしても 「もう少し待って」 「ダメ、待てない」 「お願い、これだけ終わらせて――」  お願いしても 「今日は疲れてるの……」 「俺もズボンの中、はち切れそうでヤバイの」 「あのね、冗談じゃなくて、本当に体調が――ぁ」  涙を流して訴えても――  彼は、野獣は、止まらなくなってしまった。
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