僕が勝手にそうすると決めた。北条さんを巻き込んで、脚光を浴びせたいと思ってしまった脇役なんだから。

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「北条さん」 誰もいないのを見計らって、僕は昇降口を出ようとする北条さんを呼び止めた。 「なにか?」 ゴクリと唾を飲み込んで、言いづらいことを言う所作丸出し。 「あのさ、この前みんなで話し合ったじゃん。放課後練習しよって。だから、帰られると困るんだけど」 「あぁ、私、合唱祭不参加なので、大丈夫です」 毅然とした、隙のない態度。透き通る声で即答されてしまう。 ああ。そうだよね。うんわかったって言ってしまいそうな圧がある。僕の方が恐縮してしまう。 「へ?あ、えっと。どういう、こと?」 口ごもってしまう。おいおい。しっかりしろよ僕。 「私、合唱すると死んでしまう病なの」 「ええっ!そんな病気?!まじで?」 「ウソよ」 「ウソかよ!」 よくよく考えれば北条さんも音楽の授業は受けていた。 相手のペースに巻き込まれてどうする。僕。 「でも死ぬほど歌いたくないの。これは本当。だから参加出来ない。ごめんなさい、クラスの輪を乱して。参加したいのは山々なのだけれど、こればっかりはどうしようもできないの。だから練習も本番当日も欠席します。本当に申し訳ございません。私からは以上ですが、なにか他に質問はありますか?なければ失礼したいのですけれど」 「え。えっと……」
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