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「うん。やりたいことってやつ?なんか、引っかかってるんだ。自分でもほっときゃいいのにって、わかってて。余計なお世話して相手の反感買うって、目に見えてる。でもさ。なんだか。スッキリしないっていうか、それでいいのかなって。やっぱり余計なお節介焼いた方がいいんじゃないかって。思うことない?」
小林さんは口を尖らして俯いたまま。なにも言わない。
「ほんと得なんて一つもない、どうでもいいことだって、思いたいだけかもしれないし。なんだろう。離れないんだ、ずっと頭の隅で考えてて、迷ってる」
「ねぇ。佐藤くん。それ、まんま北条さんに言ってみれば?北条さんもグラつくと思うよ」
そう言いながら向ける、小林さんの瞳が潤んでる。
「え?どういうこと?」
胸の奥でなにかが、チクリ。ずっと刺さってたそれが、じわじわ染み込んで、ぽっ、と熱くなった。
「はーあぁ。いーな。北条さんは!佐藤くんに心配してもらって!」
なんで?って聞き返そうとして、やめた。こっちに顔を向けないようにして鼻すすってたから。
大丈夫?って声をかけるのより早く「私、先帰るね!」って走り出す。
きっと、見せたくない顔してるんだろう。
「あ。小林さん!今日はありがとね!」
一回だけ手が上がった。
まったく僕ときたら。どんだけ小林さんを傷つけるのか。彼女の表情を見なくてホッとしるんだから。もし見たら、僕はどういう顔するんだろう。
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