僕が勝手にそうすると決めた。北条さんを巻き込んで、脚光を浴びせたいと思ってしまった脇役なんだから。

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相手に有無を言わせない。鉄壁のマシンガントーク。僕は理解するより早く相手のペースに圧されて爆死した。要は言いくるめられてしまったのだ。 「では佐藤くん。また明日。さようなら」 社交辞令的なテンプレ笑顔を僕に向け、ゆっくり瞬きして終止符を打つ。 僕を見透かして、まっすぐ射貫くような北条さんの目つき。 お互いの立場を理解した上で、それでも譲れない。彼女には僕より強い意思があってそうしていると、気づかされてしまった。僕なんて、どうでもいいふわふわした足場の上で立ってるのだから、その時点ですでに、この話は終わるべくして終わっていた。 北条さんは踵を返して歩いてゆく。風に舞う長い髪を抑えながら。まっすぐ。 どうせ学校行事。練習にしたって半分寝てても時が過ぎればじき終わる。適当に上手くスルーすればいいじゃないか。 彼女にはそれができると思う。僕なんかより余裕で。 そのはずなのに、なにか強いこだわりでもあるんだろうか? 漠然と、そんな疑問を繰り返しながら、北条さんを見送ってしまった。
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