僕が勝手にそうすると決めた。北条さんを巻き込んで、脚光を浴びせたいと思ってしまった脇役なんだから。

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練習参加組と不参加組。このままだとクラスの輪を保つどころか二分してしまう。僕たち三年、最後の合唱祭を成功させるどころではなくなってきた。 そこで役員である僕に矛先が向いたのだ。 「なんとかしろよ、実行委員だろ」 「なんでオレたちばっかに言う?他にもサボってる奴いるだろ?」 「私たちにとって一生に一度。最後の合唱祭なのに、なんでまとまれないの?」 ああ、もう!なんなんだよ!好き勝手言って! みんな思うことはいろいろで、不満もいろいろだ。取りまとめ役とはいえ、僕にどうしろと。 やっぱり北条さんの存在が一番大きい。 彼女の首根っこをおさえられればと、参加組は考えるのだった。 「大目に見てやればいいのにな」 「輪を乱すのが許せない生徒もいるからね。それに委員長命令でしょ?」 「向山学級委員長かぁ。参加するように言われたからなぁ」 「委員長的立場からすると、実行委員の役目だと思ってんじゃない?」 「うわぁ、縦社会かよぉ」 それにさ。と里中は口元を隠して声を潜める。 「きっと向山さんも苦手だよ、北条さん。ほら二人って、なかなかの好敵手じゃない?容姿端麗、聡明叡知。学年一二を争う才女ときたもんだ。嫌でも比較されるだろう?どっちもプライド高そうで、一歩も引かない感じ。同族嫌悪ってやつかもね」 「知らんがな。そんな事情」 「ねぇ佐藤くん、ちょっといいかしら」 「おっと、噂をすれば」 背後から声をかけられてビクッとする。
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