木曜日

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「先輩への信頼度の高さゆえですよね」 「え、そこ!? ってかそんな高くはないでしょ」 「なにがですか?」 「信頼度」 「先輩ですよ?」 「葛城だよ?」  晴香と中条の間で葛城に対する認識の差がここで露見する。えええ、と互いに互いの言葉に不信を見せる中、葛城は黙々と口を動かしテーブルの上の料理を減らしていく。 「お前の話だよなに他人事みたいな顔してんだ」 「日頃の行いによるやつだな」 「だからお前だろ!?」 「先輩の日頃の行いなんてただのガラの悪いチンピラだと思うんですけどそれはまあ置いといてですね」 「本人前にして悪口言う上に放置かよ」 「わたしと先輩とじゃせいぜい兄妹にしか見られないってことじゃないですか?」 「それで思い悩むカップルもいるって言うのに日吉ちゃん平然としてるんだもんなあ」  中条は笑いを噛み殺そうとするが失敗に終わり、わざとらしく咳払いで誤魔化した。 「兄妹……それか親子?」 「そこまで年離れてねえだろ!」  ポツリと呟く晴香の後頭部を葛城がペシリと叩く。 「兄妹ってよりも、どっちかって言うとアッチの方が近い」 「なんですか?」 「野生動物と飼育員」 「中条先輩の同期がひどいんですけど!」 「あーでもそれよりももっと……なんだろう……こう……あ、あれだ、野生動物とそれに絡まれるカメラマン」 「あー……相手が人間だと思わずに近付いてきて背中乗ったり頭に乗ったりする野生動物……」  そうそれ、と葛城と中条が大いに納得する横で晴香は「この先輩達がひどい」と盛大に憤るが全く相手にされなかった。  食事中の会話はともかくとして料理自体はとても美味しかった。デザートのアイスとティラミスを先輩二人から貰った晴香はご機嫌だ。男二人は食後のコーヒーを味わっていたが、途中葛城の携帯に電話が入り離席中。そのタイミングで中条は晴香に静かに言葉を向ける。 「日吉ちゃん、あんまり葛城を信用しすぎない方がいいからね?」
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