二回目の金曜日・2

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「そこまでしておきながら自覚したのがさっき、てのがお前らしいよな」 「だから自覚はしてましたってば! ええと、ほら、なんて言うかあれですよ……腑に落ちたのがさっきだったってだけで」 「同じだ馬鹿」  軽く額を指で弾かれる。痛い、と睨み付けるが、葛城は嬉しそうに笑ったままだ。 「久々の飲み会だってのに、酒も飲んでないんだろ?」 「そうです、ね」  下手にアルコールを摂取して途中で寝落ちしてしまったらどうなるか。初めてこのベッドに押し倒されてからの数回、全て晴香は途中で意識を飛ばしている。最初はアルコールのせいだったが、その後も、自分の部屋で「指導」を受けていた時も。だから今日はなんとしても最後まで起きているのだと、その為にもアルコールは駄目だとひたすらソフトドリンクだけを飲んでいた。 「あれ? わたしそんな話しましたっけ?」 「してねえけど分かるだろ」 「どうしてですか?」 「お前の口の中、酒の味しなかったから」  言葉が耳に入って脳に届いて数秒。ようやく意味を理解して晴香は枕に顔を埋めて叫びを上げる。くぐもった雄叫びがしばし続いた後、隙間からチラリと葛城を睨み付ける。 「……せ、せんぱいだってのまなかったくせに!」 「素面で抱くためにな」  玄関に引きずり込まれる寸前に聞いた言葉だ。晴香はまたしても枕に顔を埋めて悶える。 「お前を抱いた後に、あれは酔った勢いで、だなんてまかり間違っても考えないように飲まなかったんだよ」 「……そこまで徹底しなくてもよくないですか」 「お前が逃げ出す口上を一つでも潰すためだ」 「そんなに……?」 「そんなにまでして、お前が欲しいんだよ」  抱き締めていた枕が葛城に奪われベッドの下に落とされる。隠れる物が無くなった状態で正面から見据えられると、晴香の肌は途端に熱を帯び始めた。休憩は終わりだとばかりに葛城の瞳が欲に濡れる。落差についていけずに晴香はギュと瞳を閉じるが、葛城は構わず顔を寄せ口付けを開始した。  優しくも執拗に腔内を舐られる。背中のホックもいつの間にか外されており、葛城の大きな掌が素肌を撫で回す。背中から脇を通り柔らかな膨らみを下から掬うように持ち上げる。ゆったりとした動きで揉みしだかれると、治まっていた快楽の火種が再び灯った。  だんだんと葛城の手の動きは大胆になり、やがて指はツンと尖った先端を掠める。ビクン、と晴香の体が大きく跳ねるが、またしても葛城に抑えこまれる様に抱かれているので逃げ場がない。  先端を人差し指と中指の間に挟み込まれ前後に擦られる。ジンジンと痺れを感じる程にまで固く尖ったそこを爪で引っ掻かれるとひとたまりもなかった。背中が反ったまま戻らない。晴香は嬌声を上げるが、しかしずっと唇を塞がれたままなので全て葛城の腔内へ吸い込まれる。口の中も、弄られる胸も、抑え付けられる体も、全てが晴香に快楽を刻みそして追い込んでいく。  逃げ場がなく発散させる場所もない。蓄積される快楽は熱を生み、晴香の肌に汗が滲む。 「は……あッ……」  息継ぎに解放された口から艶めかしい声が漏れた。 「せんぱい……」
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