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二回目の金曜日・3
ぐったりとしたまま晴香は動けない。腰から下など特にそうだ。全く力が入らないので、これはまたしても腰が抜けてしまったのではなかろうかとそんな不安さえ頭を過る。
だってまさかあんなにも気持ちいいだなんて、と言うか勢いに任せてなんてことを口走ってしまったのか。今し方の己の痴態に悶絶してしまう。
こんな時は枕に逃げるしかない、と探すが大事な相棒はすでにベッドの下に落とされていたのを思い出す。ならば自分の腕、と動かそうとしてみるがそれすらもままならない。後はもうきつく瞳を閉じている事しかできない。
そうやって晴香が一人羞恥に悶えている間、葛城は手早く服を脱ぎ捨てていく。ベッドサイドから避妊具を取り出し、それを口に咥えたまま下着を脱いで装着しようとすると小さく息を飲む音が聞こえた。
軽く顔を上げた晴香と視線ががっつり絡み合う。
「……むりでは……?」
「だから見るなって言っただろ……」
葛城は軽く溜め息を吐くが、晴香はそれどころではない。初めて目にした葛城のソレ、があまりにもこう、なんと言うか――想像を超えていた。
「せんぱい」
「なんだ」
「無理」
「無理じゃない」
「物理的に無理ですよ!」
「物理的」
「だってそんなに大きいの……無理でしょう!?」
「こんなの標準だ標準、普通サイズ」
「それで!?」
「それでって言うな」
「本当に標準なんですか!?」
「多分な」
「また適当言ってる!」
「少なくともXLとかじゃねえから大丈夫だよ」
「……なにが?」
「……コレのサイズが」
晴香の顔の横に手を着き、上から見下ろしてくる葛城の目元が若干赤い。流石にこの会話は先輩も恥ずかしいんだなと、こちらはすでに羞恥心から現実逃避しかかっている晴香がぼんやりそんな事を考えていれば不意に手を掴まれた。
そのままグイと引かれた先で触れたモノ。
え、となって葛城を見つめる。葛城も同じく晴香を見つめたまま手を動かし、晴香の指を開いてしっかりと握らせた。
「コレが今からお前の中に入るから」
「う……あ、はい……え、はい? これ、って、あのその」
「知らないからビビってるだけだ。ちゃんと触って確かめたら少しは安心するだろ」
「あんしん」
安心? と首を捻りつつも先輩がそう言うのなら、と混乱の極みにいる晴香は素直に葛城の言葉に従う。
ちゃんと触って、確かめる。
そっと指を動かせば葛城の肩がピクリと跳ねた。一瞬だが眉根が寄ったのを晴香は見逃さず、これは痛かったのかと問えば短く「違う」と返される。痛くないのならば、と先程よりももっと指を緩やかに、触れるか触れないかの位置で動かしていると葛城の息が徐々に上がっていく。
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