二回目の金曜日・3

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「少しは気持ちいいか?」 「ッ……あ、……わ、かりま、せん、け、ど……ヤでは……ない、です」  この浅瀬を擦られる感覚が気持ちいいのかまではまだ分からない。気持ちよさで言うならば指と舌でされた時が断トツだ。今もきっと気持ちよくはあるのかもしれないが、それ以上に身体の疼きが募ってしまう。もっと欲しい、が、それが何を求めているのかが分からない。 「……せんぱいは……? きもちい、い、です?」  葛城からは与えられてばかりだ。軽く手でした事になるのかもしれないが、あれでは到底与えられた快楽の分には足りない。せめて自分にもっと技術、というか知識があれば先輩を気持ちよくできるのに。 「そんな顔しなくてもすげえ気持ちいいよ」  不安げな顔をしていたのだろう、葛城が優しく瞼にキスを落とす。 「挿れて止まってた……お前に応援された時だって気持ち良すぎて辛かったんだよ。動いてる今は今で、奥に挿れると熱くうねってくるし、抜こうとすると引き留めるみたいにまとわりついてたまんねえ……ココは擦るとキュッキュッて締め付けてくるからその度にイキそうになって、正直耐えるのが辛い」 「……実況と解説やめてください……っ!」 「お前が思ってる以上に俺もいっぱいっぱいなのがお分かりいただけただろうか」  実際葛城の忍耐も限界だった。ひたすら耐えに耐えたこの一週間、やっと手に入れた晴香の身体は想像以上に甘美で貪りたくて堪らない。思いのままに腰を打ち付け晴香のナカを自分で満たしたい。何度も繰り返して自分の形を覚え込ませたいし、快楽を拾う場所を見つけて徹底的に開発もしたい。すでに感じる場所となった胸と秘所もまだまだ味わい足りないしで、果たしてこの金曜の夜から土日の三日だけで足りるのだろうか。そういや有給かなり残ってんだよなあ、とそんな考えすら脳裏を掠めてしまう。盛りの付いた年でもないのに、と自嘲の笑みさえ浮かぶ。  こんな浅ましい想いを向けられていると知ったらどう思うだろうか。  欲望のままに行為に及んだらどうなってしまうだろうか。  逃がす気はさらさら無いけれど、それでも今までのような信頼と親愛に満ちた目を向けて来る事はなくなるかもしれない。恋愛感情を持たせようと必死であったが、それは信頼と親愛の情があった上での事だ。  晴香から向けられる感情は何一つ失いたくない。晴香を傷付けてまで優先する事など何も無い。  その一心で、葛城は今も己の欲が暴れそうになるのを必死で堪えていた。 「……お前は本当に俺をもう少し褒めろ」  ポタリと葛城の頬から落ちた汗が晴香の胸元を濡らす。その感触にまで晴香の肌は反応し、胎内にいる葛城に甘い責めを与える。 「わたしの先輩、は……ガラが悪くて口も、悪く、て、……ついでに、手も早いんですが」 「褒め言葉の羅列じゃねえなあ」  あと手が早いってやめろ、と葛城は独りごちる。現状が誤解を招くしかない。
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