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脚も腕も、指一本すら動かせない。どこにも力が入らない中、唯一固さを保っているのは晴香の胎内にある熱の塊だけだった。
え、と晴香はどうにか視線を動かす。葛城は快楽の波をどうにかやり過ごし、今もまだ欲に満ちた眼差しで晴香を見ていた。
「やっぱ……お前のイク顔たまんねえな……」
乾いた唇を舐めるその姿にすら晴香は反応してしまう。視覚からでも快楽を与えてこられるだなんて、どう対処したらいいのか。そんな方法がはたしてあるのか。
「悪い、もちょい付き合え」
「……むりで、す……」
もう本当に無理だ。口を動かすのすら億劫なのに、と晴香は涙目で訴えるが葛城は「何もしなくていいから」と晴香を抱き締める。
「わたし……」
「うん」
「もとから……なにもしてませんけどおおお……」
「お前は俺に抱かれて気持ちいいって啼くのが仕事だから」
そんな仕事は全力でお断りしたい。あとそれももう無理です。そうも伝えるが「悪い」とちっともそうは思っていない笑みと共に唇を塞がれた。
クタクタになった身体を抱き締められたまま抽挿が再開する。労うように頭を撫でられ、キスも舌を絡めながらも優しいもので、それだけなら晴香は穏やかな気持ちよさにうっとりとした気持ちになった、はずなのに。
隙間無く抱き締められているおかげで葛城の固い胸に自分の胸が擦り合い、敏感な先端がずっと快楽を拾い続ける。花心にも腰が擦り付けられているので、晴香はいつまでたっても甘い責めから逃げられない。
「俺も……イキそう……」
葛城の声が余裕を無くしている。打ち付けてくる腰の勢いもすでに優しさはなく、ひたすら自分の快楽を得るためだけの様に動いている。しかし晴香はそれが嬉しい。常に気遣ってくれるのはとても嬉しいが、それと同じくらいその気遣いを忘れて夢中になってくれている。 晴香は途切れそうになる意識と力を振り絞って葛城に抱きついた。自らも舌を絡め、夢中で唾液を啜る。
葛城の熱が晴香の奥を突く。そこで一際大きく震えたかと思うと、薄い皮膜越しに欲が吐き出された。
晴香は葛城に舌をきつく吸われた状態でその熱の迸りを感じる。
身体の外も中も快楽に支配されたまま何度も全身を震わせ、それは晴香が意識を失うまで続いた。
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