貴女の未来と私の未来

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 この逢瀬が。  この秘密の関係が。  一年程続く。  でも終わりはある。  初めから知っていたこと。  突然、訪れる。 「知ってる? 橘さん、おめでたなんですって」  同じ事務職の北さんと給湯室でたまたま二人きりになった時、彼女が不意に肩が触れるくらいまで距離を詰めて来たかと思うと、声を潜めてそう告げた。  耳を疑う、と言うよりも「『おめでた』ってなんだっけ?」と。頭で理解するよりも早く、脳みそがその言葉を処理することを瞬間的に拒んだ。  遅れてやってきた感情を上手く嚥下出来ない。「なにそれ」と言う言葉だけが、心にぽっかりと湧いていた。 *******
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