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この逢瀬が。
この秘密の関係が。
一年程続く。
でも終わりはある。
初めから知っていたこと。
突然、訪れる。
「知ってる? 橘さん、おめでたなんですって」
同じ事務職の北さんと給湯室でたまたま二人きりになった時、彼女が不意に肩が触れるくらいまで距離を詰めて来たかと思うと、声を潜めてそう告げた。
耳を疑う、と言うよりも「『おめでた』ってなんだっけ?」と。頭で理解するよりも早く、脳みそがその言葉を処理することを瞬間的に拒んだ。
遅れてやってきた感情を上手く嚥下出来ない。「なにそれ」と言う言葉だけが、心にぽっかりと湧いていた。
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