それでいいの?

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新人賞の結果発表画面、大賞の作品は、私の小説ではなかった。全く知らない、赤の他人の作品。私は指でスクロールして、他の賞についても確認する。準大賞、入賞、佳作。一つ一つ注意深く見るが、そこに私の作品はなかった。 落選、した。 その事実に、私の頭は真っ白になった。あまりにショックで、何も考えられなくなる。私の全ての感情がすっぽり消え去っていた。 そこからはどうやって家に帰ったかも覚えていない。気づいたら、私は家のソファに座っていた。 深呼吸をして、もう一度サイトを開き、受賞作を確認する。しかし、何回見たって、そこに私の作品はない。 急速に、私の心に、悲しみと悔しさが襲ってきた。両目からはボロボロと涙がこぼれる。 なぜ私の作品が選ばれないの。こんなにすごい小説なのに。なぜ。どうして。 答えのない問いかけが、私の頭の中をめぐる。 一時間くらい泣いただろうか。少しずつ落ち着いてきた。 私はもう一度スマートフォンを操作し、ある人物に電話をかける。坂下京香。私の一番の友人だ。 三回着信音が鳴った後、「はい、もしもし」と彼女の声が聞こえた。 「京香、今から飲もう!」 私は涙声で、そう叫んだ。
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