彷徨う心

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彷徨う心

――泣いて泣いて泣き疲れると、俺はいつの間にか眠ってしまった。そして、朝起きたら携帯電話に留守電が入っていた。再生すると司からのメッセージが、一件入っていた。  俺はそのメッセージを黙って聞いた。 「朝早くからゴメン……! 昨日携帯にかけたけど、出なかったみたいだから朝早くからかけてみた。明日には終わる予定だったが、すまんが仕事が長引きそうなんだ。もしかしたら明日は帰れないかもしれない。もし明日帰れなかったら、クリスマスは間に合わないかもしれない……! とにかくそれだけはさきに伝えておく、帰国したら一度話し合おう。じゃあ、連絡ま待ってるからな…――!」  司はそう言ってメッセージを残すと電話を切った。俺は傷ついた心で呟いた。 「話合うって何だよ……? 俺と別れたいなら、早くそう言えよ……!」  頭と心が麻痺したまま、司に電話をかけた。電話をかけると司が直ぐに出た。俺は一方的に、話を切り出した。 「留守電聞いた。クリスマス間に合わないんだろ? いいよ、べつに俺はなんとも思わないから…――! 司がいなくても俺、平気だし。あの女と、クリスマス一緒に居ればいいだろ!? もう勝手にしろよ!!」  一方的にそう言うと、携帯電話の電源を切って司との会話を拒絶した。
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