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「まあ、マキはこれが通常運転だもんな。こいつ来る者拒まず去る者追わず、プラス飽きたらポイ捨てだから。入学式で知り合ってから三年、何人泣かされた女の子を見てきたことか……」
「はあ~ないわ~」
「あれ、おれの株が猛烈に下がってる気配……」
そこまで言われるのは心外だが、否定することもできない。女の子と遊ぶのは好きだ。可愛い、面白いと感じる。でも、たとえその子がいなくなっても、悲しいという感情はない。その代わりになるものは色々ある。
「あれですかね神田さん、付き合うって何かわからない系……」
「いや、こいつの場合もっと重症だと思う。好きって何かわからない系だな」
こそこそ話しているように見せつつ、わざと槙人に聞こえるボリュームで話す二人。この場に味方はいない。
「あれ? なんかあっちの方やたら人集まってません?」
里奈が指した方向には確かに人だかりがあった。見えるのは勧誘に勤しむ学生たちで、中心に目当ての新入生がいるのだろう。
それにしてもあれほど寄ってたかってというのは珍しい。
「本当だ。もしかしてすっごい美少女が来たとか?」
「うーん……? いや、男子っぽいすね。なんかどんどん近付いてるような」
「おー、ほんとだ――って、嘘、このブース向かってない?」
人だかりの中心の人物は申し訳なさそうに勧誘を断りながら映研のブースの前で止まった。
「え、遥」
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