64人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちげーよ! こいつは塾講バイトの生徒だったの!」
「あーなるほど。もしかしてうちのサークルに入りたいとか?」
神田が聞くと遥はこくりと頷いた。
「はい。最初から入ろうって決めてたんです。知ってる先輩もいるし、映画好きだし」
「映画好きなんだ! ちなみにどういうのが好きなの?」
「最近見たやつだと、『フィルム・アウト』とか……」
「え、サンドラ監督の? おれ好きなんだよあの人の作品。結構マイナーなやつも見るんだ。過去作の『インセクト』とか見たことある?」
「はい。サンドラ監督作の中じゃわりと陰鬱というか、グロかったけど」
「わかるわかる。主人公がでっけー虫のはらわた切り裂いて中身食うシーンとかやばいよな」
楽しそうに話している神田と遥を見て驚く。今まで遥が映画好きという話は聞いたことがないのに、マニアの域といっていい神田と話が通じるとは。
槙人は特に映画が好きなわけではない。活動が義務付けられておらずゆるく楽しめるこのサークルの雰囲気が性に合っていたので、所属しているだけである。
里奈は興奮で鼻息を荒くしながら槙人の肩をばしばし叩いてきた。
最初のコメントを投稿しよう!