2. 先輩と後輩 春

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 大学の近くの居酒屋で行われた交流会という名の飲み会は、かなりの盛況である。全部で四十名以上いるが、その半分近くが新入生だ。 「よっ主演俳優!」  トイレから戻った際ついでに移動した先の卓では、すでに顔が赤くなった神田がはやし立てる。 「うるせー酔っ払い」  槙人は煙草の火を点けながら、卓の様子を観察した。  隅の方に遥が座っているのが見える。隣の一年生の女子に熱心に話しかけられていた。  案の定、おモテだこと。  しかし当の遥はどことなく困り顔で、槙人が来たことに気付き、なんだか助けを求めるようにちらちらとこちらに視線をやっている。その様子がなんだか捨てられた子犬のようで、槙人はなぜかくすぐったいような気持ちになった。 「あのー、さっきの映画ってどこで撮ったんですかー?」  新入生の女子が少し恥ずかしそうに聞いてくる。いきなり男同士の恋愛物を見せられたのだ、その主演を目の前にして気まずくなるのは当然だろう。  数席隣から監督の里奈が身を乗り出してきて答えた。 「あれは軽井沢! 去年の夏合宿で行ったんだ。毎年夏休みは二泊三日で合宿に行って映画撮ったり遊んだりすんの。いやー去年はほんと楽しかった。めっちゃいい映画撮れたし!」
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