64人が本棚に入れています
本棚に追加
「ね、先生って大学で映研に入ってるんだよね」
「ああ、うん」
「新歓とかやるよね? おれも入りたい」
「そりゃあ自由だけど……おまえ今テニス部だろ? テニサーとかの方がいいんじゃないか。そっちの方がキラキラした青春送れると思うぜ」
「いい、そんなの。だって――――体育会系は大変じゃん。映研はゆるっとしてて楽そうだし」
「それはそうだな」
なんだかんだと話しているうちに既に改札前に着いていて、なんとなく別れるタイミングを探りながらも改札横に突っ立って話し込んでいた。
「じゃ、またな」
「うん。良いクリスマスを」
「もう終わったようなもんだって」
「あはは」
手を振って逆方向のホームへ降りていく遥。
生徒によく好かれる槙人だが、遥はその中でも格別といえるほど、槙人に懐いていた。ぱたぱた振る尻尾の幻が見えるほど。
何がそんなに気に入ったのか、授業の無い日でも槙人を見かければ話しかけてくるし、色々な場面で雑談している。その分仲良くなったのは確かだ。今日のように待ち伏せしていたのは初めてだったが。
――もし映研に来たら大歓迎されるだろうな、皆キラキラしたイケメンに飢えてるから。
そんな春に思いを馳せつつ、電車に乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!