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「神田が結婚って……まじかよ。今年一番のびっくりニュースだわ。相手はもちろん里奈ちゃんだよな?」
「当たり前だろ」
神田と里奈は一年前、就職を機に付き合いだした。神田の留年により同学年となった二人は、偶然にも同じ映像制作会社に入社した。社会人として働くうちに学生時代の先輩後輩が恋愛関係に発展するのにそう時間はかからなかったようだ。
「実質半同棲みたいになってたから、そろそろ一緒に住むかって話が出てさ。一応お互いの親にも挨拶するかーってなったんだよ。そしたら里奈が『じゃあいっそ結婚しちゃいません?』って」
「思い切りの良さやべえな……でも里奈ちゃんらしいわ」
「そうそう。そしたら確かにそれもありだなって思って、今年中に籍入れることにしたわけ」
「そうかあ……まさか神田が一番乗りとはなあ。とにかくおめでとう」
「おう、ありがとよ」
神田も里奈も槙人にとって大切な友人だ。その二人の結婚は自分のことのように嬉しい。
「式は挙げるのか?」
「一応な。つっても金あんまないし、親戚と仲のいい知り合いだけの小さい式になる予定だよ。日程ももう決まってるんだ。招待状は後でちゃんと送るけどマキも来てくれよ。二月二十七日、ちなみに仏滅」
「おいおい、真冬でしかも仏滅って外しすぎだろ」
「しょうがないだろ、一番安い土曜がそこだったんだから」
「ん? 二月の土曜……? ちょっと待て」
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