64人が本棚に入れています
本棚に追加
「あいつあいつ! あいつがさっき言った、イケメンのマキちゃん!」
「ね!? イケメンでしょ~!?」
神田と里奈はどうやら一年生に「イケメンの先輩がもうすぐ来る」引き留めていたらしい。
「おい……なんだそのハードルの上げ方。てか神田、四年のくせに暇かよ」
「いーのいーの、おれはどうせ留年だから。ほらマキも座って説明して」
無理矢理神田が座っていた席に座らされて、一年生の女子二人と向かい合う。
二人はたじたじだったけれど、バイトで培った説明力を駆使してサークルの概要を説明し、良かったら飲み会来てね、全然入らなくてもいいから友達作りに、もちろんソフドリで大丈夫だよコールとかないから、等にこにこしながらアピールした末に、行ってみますという言葉を引き出した。
その後もキャンパス内をうろついて声をかけて回り始めた神田が次々と新入生を連れてきて、槙人は休みなく説明と勧誘をすることになった。
何組か続いた後ようやく新入生が途切れた。疲れ果てている槙人の横で、里奈は上機嫌で新入生に配るビラを補充している。
「いや~さっすがマキさん! あたしと神田さんだけだったらこんなに勧誘できませんでしたよ~。それにマキさんが来てからの方が特に女の子の反応がいいし! ね、神田さん!」
「うんうん。マキは我が映研の貴重なイケメン枠だからな。しっかり働いてもらわないと」
最初のコメントを投稿しよう!