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「あのなあ、おれ今日は飲み会だけ出るつもりで来てるんだけど……」
軽く顔だけ出すつもりだったのに、まさかこんなに働くことになるとは思わなかった。
「そういえばマキさん、就活どうですか? 業界とかは?」
「まだ始まったばっかだからなんともだけど……特に業界とかは決めてないから、まあ広く浅く?」
「へえ~そんなもんですかねえ。あ、芽衣さんとは無事に別れられました? 結構修羅場だったって聞きましたけど」
「あー……」
一学年上の先輩だった芽衣とは、先日ようやく別れることができた。芽衣の卒業を機に、自然に別れる方向へ進むと思っていたが、意外にもそうはいかなかった。
どうやら芽衣の方は別れたくなかったらしく、社会人になったら会う時間が減るとか、引っ越したら家が遠くなるからどうしようとか、付き合っている前提の連絡ばかり来るものだから、ついうっかり口が滑って「クリスマスの時くらいから別れるもんだと思ってた」と本音を口にしてしまい、芽衣は大激怒。泣くわ叫ぶわでもめにもめ、終いには「あんたみたいな人の気持ちがわからないクズと付き合って時間を無駄にした」と捨て台詞を吐かれた。
「……いや。それどう考えてもマキさんが悪くないですか!?」
「やっぱそう? ちなみにこの話した人全員そう言うんだけど」
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