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とうとう明日ね……
「夕子、明日、僕の家、僕一人なんだ……」
ああ、ユウトのあの真剣な顔とひそひそ声が今でも頭の中に響いているわ……
明日、わたしは、ユウトの家にお泊りするの。
ずっと恋人同士だったけど、せいぜい、お買い物をしたり、美味しいものを食べに行ったり、って感じだったかな。
手を繋いだり、腕組んだり、ちょっと軽く、ほんとに軽く唇の先でキスしたり、って程度だったわ……
それが…… 明日はお泊りなのよね……
何があるのか……
ふふふ、わたしだってもう大人よ。コーコーセーはもう大人なのよ。
男と女が二人っきりで夜を過ごすって意味が分からないわけないじゃない?
今夜は、まずはお風呂で、からだを綺麗に洗って……
いや、ユウトのお家でもお風呂に入るわよね? その時に綺麗に洗おうかしら?
まさか、ユウトが一緒に入りたい、なんて言わないわよね?
でも、言ってきたら、どうしよう!
わたしの裸、見られちゃうわ…… 最近、甘いもの一杯食べてるしなぁ……
え? ちょっと待って! そうなると、あれじゃない?
……わあ! そうなると、ユウトの裸、見れちゃうの! うわぁ……
でもまあ、そうなるとは限らないわよね? お風呂だって、入れるか分かんないじゃない?
だから、成り行きに任せちゃうわ。……な~んて、言ってるけど、ちょっとはそうなる事を期待していたりなんかして……
そうそう、パジャマ、持って行かなくっちゃね。
いつものヤツで良いかなぁ。でも、イチゴ柄だしなぁ、格好悪いなぁ…… こうなるんだったら、新しいの、買っておけばよかったわ。
新しいのって言ったら、下着も必要だったわね。
なんてったっけ…… 勝負下着? うわあ! なんだか言うだけで恥かしくなっちゃうぅ!
そんなの持ってないしなぁ…… あるサイトで見た事はあるけどさ。まさに大人よね。
もし着たってなぁ、わたしって、周りの友達よりちょっとなぁ、自信が無いからなぁ…… きっと映えないだろうなぁ……
敦子か美和子くらいのボディがあったらいいんだろうけどさ……
まあ、いいわ。買い置きの新しいのにしておこう。色気も素っ気もないけどね。
でもさ…… 脱がされちゃうかもしれないわね…… うわあ、言っちゃった! 言っちゃった!
もし、万が一、脱がされちゃうかもだったら、いつもの下着でいいかなぁ? じゃあ、パジャマも悩む必要はないか……って、な~に考えてんのよ! わたしったらぁ!
でさ……
ユウトが求めてきたら、どうしよう……
わたしだって、そのつもりだけどさ……
正直、こわいわ……
ユウト、優しくしてくれるかなぁ?
「夕子……」なんて耳元で囁かれたら、どうにかなっちゃいそうとは思うけど……
わたしだってさ、どうするのかって知らないわけじゃないわよ。けどさ、初めてだもん……
痛いって聞いた事あるけど、そうなのかなぁ…… わたし、痛いのって嫌いなのよねぇ。
でも、ユウトのためなら、我慢するわ。それが女って言う感じがするし……
ああ、明日が待ち遠しくて、怖いわ……
その夜、夕子はあれこれ考えて寝つけなくなって体調を崩し、高熱を発してしまい、結局ユウトの家には行けなくなり、呆れてしまったユウトにフラれてしまったんだそうな。
何をするにも、からだだけは大事にしてくださいませ、と言うお話。
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