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爽やかな晴れの日が続く、四月の終わり頃。
授業が本格的に始まり、陽光は空手のサークル、果恋は混声合唱(男性・女性混合の合唱)のサークルに入った。
陽光の空手のサークルは形(技の力強さや正確さ、美しさなどを競うもの)が中心だった。
美容や健康のために参加する女性も多い。
一方、果恋の混声合唱のサークルでは、ソプラノはやはり人気があり合唱経験がなく、どちらかと言えば声も低い果恋はアルトのパートを担当することとなる。
果恋はソプラノに未練があったようだが、陽光は果恋の声をほめた。
「少しハスキーなアルトの音域で響く声、僕は好きだな」
「わたしってそんな声してる?自分では分からなくて……」
「果恋の声は低くて大人っぽくて、そして……」
「そして……」
「うん、色っぽいと思う」
「い……色っぽい。そんなこと、言われたことなかった。本当にそう思ってる?」
「もちろん。充分、魅力的だよ」
陽光は、晴れやかな表情で伝える。
「あ、ありがとう。わたしの声ってハスキーで魅力的に聞こえるのね」
果恋は陽光の言葉から、自分の声とパートに自信を持った。
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