プロローグ

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 雲ひとつない空、頭上に輝く太陽のもと、南国的なヤシが海沿いの道路に数十本植樹されている。 1ce44cff-489f-42cd-b464-1b85247864f0  受験をひかえた高校二年生の春休み、東京に住む豊実陽光(とよみあきみつ)と地方都市に住む森林果恋(もりばやしかれん)は、およそ六年ぶりに再会している。  陽光は果恋から手紙で、果恋が一週間ほど東京に滞在すると伝えられていた。  果恋は東京の大学に進学したいと考え、キャンパスには入れないかもしれないが、大学の下見で東京に来ていた。  ふたりは予定を合わせて東京駅の丸の内地下中央口改札で待ち合わせた。  そこから長いエスカレーターを降り、総武地下ホームに向かう。  総武快速線君津(きみつ)行きに乗り、袖ヶ浦(そでがうら)駅で降りた。  駅から四十分ほど歩いて、この場所にたどり着く。  陽光は果恋と久しぶりに出逢い、身も心もとても美しく成長したのだな、と思って見とれていた。  丁寧に手入れされた黒のロングヘア。  くりくりとした大きな眼で、瞳の色は茶色。  すらりとした鼻、形の良い唇。  そして、綺麗な心をうつし出すような優しい笑顔。  美人というよりは、かわいい印象を陽光は持った。 「ここ、西海岸のロサンゼルスみたいだろう。だから、連れて来たかった。千葉県にあるカリフォルニアのようなところだから、千葉フォルニアと呼ばれているんだ」 「ありがとう。嬉しい。わたしのアメリカに行きたいという手紙の内容、覚えていてくれたんだ。本当にアメリカみたい」  果恋は、感謝の思いで笑顔になる。 「それは、果恋のことが……」 「わたしのことが?」  果恋は不思議そうな表情で、陽光を見つめている。 「とにかく、大学に合格したら続きを話す。僕の第一志望は英語が難関で有名な、都内のミッション系の総合大学。都心にあり華やかな雰囲気で、僕は理系だけど、理系も文系も同じキャンパスで学べるところが魅力なんだ。いろいろな考え方の人と接したい。中学・高校を男子校にした選択は失敗だったと思うから」 「それは、大学で好きな人を作りたいんだね。応援してるから」  陽光の心は果恋に向いていた。  大学に合格して、受験に区切りをつけることができたら、果恋に想いを伝えたい。  だから、今はその想いを心の中にそっと仕舞っていた。  しかし、果恋はそんな気持ちには気づいていなかった。  果恋も好きだった、陽光のことが。  ミッション系の総合大学なら私立だから、わたしにもチャンスがあるかも。  必死で勉強して同じ大学に行く。そして、陽光と付き合いたい。  強い決意が心の内に沸き立っていた。 ───「高校二年生」より───
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