終話 火炎祭当日

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終話 火炎祭当日

 僕は松明を国王の所に納品すると。国王は。 「遅い、ギリギリじゃったの。火炎祭は朝早くから始まる。みなお祭りじゃ」 「はい」  大臣が松明を兵士に渡していく、兵士はその松明を所定の所に運ぶ。ほっと胸を撫で下ろした。  中央広場でただ眺める、兵士から町民に配られた松明に、町人は願いを込めて書いている。  聖火から取ったらしき、組み木の大火炎が勢い良く燃えている。願いを書いた松明がくべられる。その中の少年は。 「あっ、今年の松明は角材だから、お願い書きやすい」  手間を省いたのに、それが思わぬ嬉しい誤算となった。少年はお願いを書いて、聖火から火を貰うと、組み木の大火炎に投げ入れる。  ご年配の夫婦が、松明を取る。ゆったりした手付きで、お願いを書いて、聖火から火を貰い、組み木の大火炎に投じる、とおばあさんは。 「まあまあ、無事に、今年も過ごせそうですね」  おじいさんは。 「そうじゃとも、良い年になるように、心付けをな」  次々にお願いを書いて松明を、組み木の大火炎に投げ入れる人々、僕も願いが叶いますようにと書くことにし、兵士から松明を受け取る。数日だけのアルバイトの方々も、次々に願いを書いて投じる。僕も投じる。  すると木組みの大火炎は、どんどん燃料を加えられ熱くなる。王様も大臣も兵士までも願いを書いて投じていく。すると西の方から、赤い何かが向かってくる。
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