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「好きです。十歳も年上だけど僕のことそういう対象で見てくれませんか?」
会社の同部署の直属の先輩である菅原さんから入社から半年の今日10月1日唐突に告白された。
十歳も年上だから、私なんて眼中にないと思っていたし、私も対象として見たことはなかった。だからこそ、驚いた。そして社員旅行はあと2日もあるというのに1日目に告白してきたのである。気まずくなるとは思わなかったのだろうか、と思いながらも感心した。嬉しかった。
菅原さんとは、会社の先輩後輩という関係である。十歳も年上で、見た目はいわゆる強面系。大学までアメフトをやっていたから身長180センチでがたいも良いので迫力がある。最初は怖いと思っていた。そして社内での女性人気も高いのであまり男性に免疫のない私は緊張していた。仕事では常に伸び伸びと、時には一緒に謝罪をしてくださるようなとても頼りになる先輩だ。他の社員からも頼りにされ、そして見た目に反してお人好しなので、いつも引き受けなくていいことまで引き受けている。そんな先輩だ。
金曜日の朝7時、雨が降っている。雨の日は、電車が混むからいつもはやく家を出る。そしていつもモーニングをして雨の日でも楽しみを作って1日をはじめる。お気に入りの傘をさしながら、荷物を置きに会社へ向かっていた。
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