プロローグ

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俺は高校生だった。なぜ「だった」なのかは俺が死んだからだ。 学校の帰り道、公園からボールを追いかけて道路に飛び出す子供が目に入った。おいおい危ないなぁと思いながらふと道路先を見たら猛スピードで走ってくるトラックが見えギョッとする。それを見た俺はボールを持って道路で固まる子供目掛けて走り出した。 「早く逃げろ!!」 クソっ!そうは言ってももう間に合わない! その子供の目の前にはトラックが迫っていた。 俺は咄嗟に地面を蹴り子供を押し出したが.......その直後にはシャレになんないほどの痛みが俺を襲う。 最後に見たのは呆然とする子供を抱きしめて泣く母親らしき人の光景だ。 ......よかった。子供は助かったんだな。 ホッとして力が抜ける。 自分が助からないのはもうわかっていた。痛かった体が何にも感じなくなってきたのだ。 そして意識が途切れる。 で、気がつくと周りが真っ白の謎の空間に俺は居た。 周りを見渡しても白、白、白!!自分が立っているのかもあやふやに感じる。でも何より驚いたのが自分に意識がある事だ。 おかしい。俺は確かに死んだ筈だなのに。 ......ならここは死後の世界か? 「それはちょっと違うね。まぁ似た所だけど」 「誰だ!?」 「ふふ~、誰でしょうか?」 声が聞こえた方を振り向くとサッカーボールくらいの黒い球体があった。 なんだこれ? しかしよく見るとこの球体には人間のような口がついている。 これが喋ったのか? 「そうだよー。僕が喋ったんだ。」 「な!?俺は今声に出してないぞ!?それにさっきもっ。」 まさかコイツ..... 「そのまさかだよ。心の声聞こえてマース。」 なら喋らなくていいか。 「それでも別にいいけどねー。それにしても順応性高くない?」 で、あんたは何?ここはどこ?俺死んだ筈なんだけど。 「スルーかい!?まぁいいけど。....いっぱい質問するねー。簡単に言うとここは転生の間で僕はその管理人」 転生の間?? ってことは俺今から転生すんの? 「そのとーり!」 よっしゃ!!! ハーレム作って無双だっ!!! ってかなんで俺??他にも居ただろ? 「君はとても面白い人生を送ってたからねぇ。あんな所で死ぬなんて可哀想だと思ってさ~」 なるほど。日頃の行いか良かったってことだな。 「そうそう。色んな人から愛さr、ごほんっ、頼られる君は見てて面白かったよ~。その調子で次の世界でも頑張って」 次の世界ってどんなところなんだ? ハーレムちゃんと作れる? 無双は出来そう? 「君が行く次の世界はオメガバースの世界だよ~。まぁ、詳しくは向こうに産まれてからのお楽しみで!」 オメガバースか。同人誌で読んで萌えたけど、実際に自分がその立場になるのはなぁ。困るぜ。どんな女の子と番になろうか.....。 「他に質問は無い~?」 .....なんで俺の意識があるんだ? 俺が知ってる輪廻転生ってこんな感じなのか? それに転生って俺の以前の記憶を引き継ぐのか? 色々疑問が浮かぶ。 黒い球体の言ったところ、俺は特例そうだし。 普通はこんな待遇ないんじゃないか? 「確かに君は特別だよ。本来の輪廻転生は次に生まれる世界とかの説明とかしないし、記憶も引き継げない。君の意識があるのは.......実は僕、地球で流行ってる異世界転生ものに興味があってさぁ。やってみたかったんだよね!」 あ~。ラノベとかで流行ってるなぁ。俺の高校の友達もどハマりしてたし。 死んで神様にチート能力もらって無双するんだっけ? 球体の興味の産物なわけだな。俺の転生は。 ってか、絶対に俺が死んだのが可哀想って理由じゃないだろ。本音はそっちだろ! 「そんなまさか~。.......お詫びにいい能力付けとくからさ!」 お詫びって言ってんじゃん。俺の言ったこと図星かよ!? 「おっと、時間だ~! じゃぁ頑張って第2の人生を謳歌してねー。」 話を切り上げやがった!? ってか眩し!? 俺の足元が眩い光りに包まれる。 ただでさえ白い空間で目がしょぼしょぼするっていうのに、いきなりの眩しさで目が潰れたんじゃないかと思った。俺の目を潰す気だろ!? そう文句を言おうとしたが、体から力が抜けていき立っていることもままならない程の脱力感に襲われる。 「あ、そうそう。君の行く世界は-------」 はぁ!?!? 球体から信じられない言葉を言われ、それを最後に俺は意識を失った。
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