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「はっ…はっ…はぁ……!」
そんなアルファソンの路地で、生にしがみ付くかの様に走り回る少年がいた。
何日も洗われていないだろう髪は…ボサボサであり、汚れで黒髪なのか茶髪なのかも分からない。
背や身体付きを見ても、食料難からか頬は痩け、薄汚れた布の服越しから見ても明らかに衰弱している様に見える。
だが少年は、今にも倒れそうな体に鞭を打ち…懸命に生きようと踠いていた。
「クソガキがっ…おい、そっちに回れ!」
「絶対逃すな、ぶち殺してやる……!」
どうやら少年は何人もの成人した男性に追い回されている様だ…。
逃げ惑う少年の胸には…僅かばかりの食料が抱えてあった。
その食料を少年は力強く抱え込み、必死にその場から少しでも遠くへと…重くなりつつある足を動かしていた。
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