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拓也と私は付き合い出した。
バレエがあったし、拓也も部活引退と同時に塾に通い出したから、2人でどこか行くことはなかったけど、
少しでも一緒の時間を作れるように毎日、拓也が帰りの時間になると教室まで迎えに来てくれた。「ほら、旦那きてるよ。」と美帆にいつも冷やかされた。
『塾おわったー。えりかは?』
『私も終わったとこだよ。』
『今、バレエ教室?』
『うん』
『ちょっと待ってて』
『ついた』
外に出ると拓也が待っていた。
「こんなに勉強したの始めてで、頭痛いよ。」拓也は私の少し前を両手広げて背伸びをしながら歩いていた。
「大変そうだね。」
「えりかも、来年だよ。」拓也は振り返って、「同じ高校がいいなー。えりか、俺のとこ来てよ。」と言った。
「え、でも拓也、南高校受けるんでしょ?頭良いよー」
「今からなら、行けるって。」
「うっ頭痛くなってきた。」拓也は吹き出すように笑って「えりか可愛いなー。」と私の頭を撫でた。
「えりかとの時間、本当癒しだわー。付き合えて、まじ良かった。」拓也の横顔はにこやかだった。
「...こちらこそ、ありがとうございます。」
「うわ、なんか他人行儀」とつっこみをいれながら拓也は笑っていた。
「あ、もうついた。おやすみ、えりか。」
「おやすみなさい。」
拓也はいつも少し遠回りして、私を家まで送ってくれた。
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