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すれ違い
家に帰ると、制服のままの空がテレビもつけずソファーに座っていた。
ガッチャとドアが開く音が響いた。
「...ただいま」
「えりか、日野先輩と付き合ってるの?」
冷たさを感じる声に、空の後頭部しか見えずピーンと張り詰めているように感じた。
「付き合ってないよ。」
「じゃあ、なんでさっき2人でいたの?」
「...誘われて」
「一緒に帰ってるの?」
「たまに」
「日野先輩が好きなの?」
「...いい人かなって思ってるよ」
空が勢いよくソファーから立ち上がって、振り向いた。怒ってるような泣きそうな顔してた。
「空、ごめん」何に謝ってるか分からなかったけど、空の顔を見たら言葉が勝手に出てきた。
「謝るなら...あーもういいわ。」と空はリビングから出ていった。
自分がなんで謝ったのか、なんで空が怒ってるのか分からなかった。
ただなんだか凄く痛くて、泣きそうになった。
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